電線が必要なくなる!?闇を照らす技術・植物の研究が進む

空に伸びる電線が無くなる日も近い!太陽光を蓄電して夜間に発光する塗料や、自らが光を放つ植物の研究が進み、最小限の電気エネルギーで生活できる時代が訪れそうです。

夕暮れ時。

水色の空は、薄くサーモンピンクに染まり……だんだんと、オレンジ色に変わっていきます。

「あっ。」

という間。

空に広がる雲には、沈む夕日が反射。光と影のコントラストで素敵な形を浮きだし、まるで絵画のよう!
夕暮れ時の刻々と変わるグラデーションは、なんともいいものですね。

道路を走っている車も、スモールランプをつけ始め、夕暮れを意識し始めます。

街は、エントランスの電気のスイッチをつけ始め、家族が帰ってくるのを迎え入れる準備が始まります。

1日が終わる時。

空のオレンジ色の光と、
「おかえりなさい。」
の、オレンジ色の光の点灯。

どちらのオレンジ色もやわらかくて良いですね。

そんな贅沢なひと時、ふと気になるのが、黒い糸のシルエットとなった
「ブラーン。」
とした電線の影。

刻々と変化する美しい空に、グレーの電柱と電線が乱立していると、どうしても、違和感が否めません。

高圧電線から伸びる、驚くべき数の電線を見ると、「なんだか不自然。」と、感じるのではないでしょうか?

やっぱり、何本も空中を横切る電線は、景観を損ねます。

人間にとって、必要な電気の供給をしてくれる、重要な機器なのですが……。
電気の使用は、二酸化炭素が増えて、地球温暖化が進んでしまうのです。

電気を使用しないで、暗闇を照らすことは出来ないものか?
現在は、色々な開発が進んでいます。

電柱・電線が空から無くなのも、遠い未来の話ではない!

日本でも、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、外苑西通りでは「電線共同溝工事」無線電柱化が進んでいるのです。

外国の美しい風景に電線が無い

電線の無いすっきりとした空間とは?

すっきりとした街、イギリスを見ていきましょう。

イギリスでは、今から200年もの前に世界で初めて街灯としてガス灯を設置した国として知られています。
そこから約70年、ガス灯がともされる時代が続き、街灯の明かりはナトリウムランプという、暗いオレンジ色の電気に変わりました。

街灯に使用されているのは、低圧ナトリウムランプの光。

イギリスでは、霧が多く発生するので、白色に光る蛍光灯の光より、霧の粒に反射する光が優しく、光が拡散されず目に届きやすい、このランプが使用されている様です。

ナトリウムランプは、虫を寄せ付けやすい紫外線を含んでいないため、街灯の周りに虫が飛散している状態にならないので、その点でも景観を損ねません。

日本では、白色のLEDランプの方が、寿命の点や電気代に関しても風土に合っているようです。

電気を使用しない庭の照明

・庭にソーラーライト
庭の適所に照明があると、光が夜の空間に広がりをもたらしてくれ、防犯面でも安心です。
ソーラータイプのLEDライトを庭に設置しておけば、夜、死角となる場所を無くすことが出来ます。

ソーラータイプの物は、日中太陽の光を集めて、それを電力として夜間に点灯してくれる仕組みです。
このため、太陽光を十分に集められる場所に設置する必要があることを、覚えておきましょう。
電気を必要としない、埋め込み式なので、自分でも簡単に設置出来て、値段もお得な物が多いで、おススメです。

・防犯ライト
防犯のためのライトは、センサー式のLEDライトで設置するのが、良いでしょう。
ソーラータイプもあり、電池の交換が必要ないものも出回っていて、手間も少なく、長い目で見てコストも節約になります。

光る塗料で道路から街灯が無くなる!?

オランダでは、一部の小さな町で、街灯が無くても、夜間に高速道路を走行できるような試みが始まっています。

この地帯での高速道路には、街灯はなく、すっきりとした道幅の横に3本の光のラインがあるだけ。

この光る3本のラインは、光ルミネンス性のパウダーで、日中太陽の光を吸収し、暗くなると発光する性質の塗料なのです。

この塗料のお陰で、道端が明るく光り、まるで飛行機の滑走路の様!

この光る塗料は、日中、太陽からの光の充電によって、夜間8時間ほど発光するようです。

未来は、夜間に電気を使用しなくても、色々な物で照明の代用が可能になってきている!
電柱と電線が無くなって、すっきりした空間になる日も近いのです。

近い将来には、家に帰ってくると、光る植物が迎えてくれるようになりそうです。

電飾しなくても美しく光を放ってくれるクリスマスツリーや街路樹があれば、美しさもさることながら、二酸化炭素の放出も大きく削減出来て、すっきりとした空間も手に入れることが出来るでしょう。

DNA操作で自ら発光する植物を作り出す

アメリカでも、自ら発光する植物の研究が進んでいます。

タバコの類縁関係の植物を使用。この植物に対して、ホタルの自ら発光する性質を利用し、植物の遺伝子を組み替える作用のあるバクテリアを用いてDNAを組み替えることに成功!
発光する植物を作り出してしまったのです。

現在の時点では、街灯の半分ぐらいの明るさを放っているとのこと。

Stariight Avaterという名前です。

発光バクテリアがルシフェリンという化学物質で発光することを発見。遺伝子操作により植物にもおなじ性質を持たせることに成功しています。

そして現在は、誰でも、DNAを操作した植物を発光させるためのマニュアルを購入することが出来るのです!

しかし、この発光植物は、DNAを操作しているためか、今の時点では繁殖が不可能で、1世代で枯れてしまうらしい。

それは、何故か?

この、生育期間も短い理由は、物質のルシフェリンやルシェフラーゼという、もともと植物には存在しない物質を注入、DNAを操作して作られる植物なので、本体の植物にとっては元々体に存在しない毒物が体に入り込んだとみなされ、拒否反応を起こし、存続が難しいのだということです。

すでに、研究室では、赤・青・黄の各色を発光させることも研究されていて、花や葉、茎といった部分ごとに色分けして発光させることにも成功しているようです。

日本でもすでに、大阪大学と京都大学の共同研究で、ゼニゴケの遺伝子を組替え、赤・青・黄とカラフルに発光させる技術も研究開発されているようです。

節電に役立つ街路樹や、スポーツ競技場の芝を発光させる技術が実用化も近い!

どんな色で、どの様に光らせるのか?

ファンタジーな世界が現実味を帯びてきました。

海洋性プランクトンが夜間発光する

海洋性プランクトンにも発光するものがあります。

海水温が上昇すると、夜の砂浜で、この海洋性プランクトンが青白く光るのを見ることが出来ます。
このプランクトンは、日中明かるところに置き光合成をすると、夜が深まると光の明るさを増していく性質を持ちます。

この海洋性プランクトンも、人間が育てて照明代わりに使用できるような商品が開発されています。
プランクトンも生物なので、育てることが必要です。

未知の世界の生物と出会い、育てていく楽しさは格別のものがありますよね。

このプランクトンを人間が管理して育てる場合、必要なエサを、数カ月に1度程度与えて、日中明るい室内に置いて管理すればOKで、夜に美しく発光してくれるようです。

長く持たせるためには、海水の温度管理や水質管理。
「育てる」気持ちが大切。

自然の生物を人間が育てるのは難しそうですが、この分野でも、素人でも簡単に長く育てられるように、さらに研究が進んで欲しいと願います。

遺伝子操作で自らが光る植物を作る技術を素人でも手に入れることが出来ます。

種を撒いて育てていく……。

未知の光の世界は、人間が作り出した植物が主役となっているのかもしれません。

電線を地下に埋めるためには、様々なメンテナンスが必要です。

地震や災害の多い日本では、経費がかかりすぎることで、なかなか進んできませんでした。
近年、都心部を中心に、徐々に商店街から電線が消え、すっきりとした景観に整えられ始めてきました。

蓄電して夜間に発光する塗料や、自らが光を放つ植物の研究が進めば、街並みもガラッと変わって
くることでしょう。

優しいオレンジ色に光る植物が
「おかえりなさい。」
と、迎えてくれる日も近いのです!