イングリッシュガーデンから学ぶ、基本テクニック ~ エクステリア&ガーデンファニチャー編 Vol.1 ~

植物が咲き誇る庭はそれだけで美しいものですが、さらにガーデンを引き立ててくれる存在である、エクステリアやガーデンファニチャー。用途、デザイン、フォルム、カラー、マテリアルとたくさんある種類の中からどのように選べば良いのか、イングリッシュガーデンの実例写真とともにご紹介します。

エクステリア&ガーデンファニチャーとは

庭づくりに大いに役立ってくれるエクステリアやガーデンファニチャー。ガーデンファニチャーはその名のとおり、庭で活用できる家具を指し、エクステリアは室内の装飾であるインテリアとは逆に、外のエリアの装飾を指します。

中でもエクステリアは、門や扉、外壁など工事を必要とするものから、庭でくつろぐ際に必要な椅子やテーブルといったアウトドア用家具、あるいはガーデンのビジュアルをさらに高めてくれるオベリスクやアーチなどを含めて、外部全般を装飾的に助けてくれるアイテム全般を指しています。

ガーデナーの方にとっては、植物をさらに輝かせてくれるエクステリア&ガーデンファニチャーを庭に迎え入れたいもの。

イングリッシュガーデンを参考に庭づくりをしている方は、どんなデザインやフォルムなら自宅のガーデンにぴったりなのか、いつもアンテナを張り巡らせているのではないでしょうか。

ここでは実際のイングリッシュガーデンから、おすすめのエクステリア&ガーデンファニチャーをご紹介します。ぜひ素敵な庭づくりの参考にしてくださいね。

エクステリア&ガーデンファニチャーを購入する前に

エクステリアやガーデンファニチャーを使用して、もっと庭にドラマティックな景観を。そう思っていても、庭づくりをスタートした当初は、いったい何が必要なのか分からないこともありますよね。

また、庭のサイズによっては置けないエクステリアやガーデンファニチャーもきっとあるはず。アイテムを購入する前にまず、どこに、何を、どのような目的で必要としているのか、はっきりと分かっていることが大切です。

そしてエクステリアやガーデンファニチャーは、素材、デザインがたくさんあるので、その中から選ぶには、造りたい庭のイメージも重要なポイントとなります。

特に大型のエクステリアやガーデンファニチャーを庭に迎える場合には、自身の目指す庭にそぐわないイメージのマテリアルのものを購入してしまい、あとで後悔することのないように、あらかじめ自分の造りたいガーデンのビジュアルイメージを明確にしておきましょう。

アイテム別に見る!ガーデンを引き立てるエクステリア&ガーデンファニチャー

エクステリアやガーデンファニチャーは、それを指す範囲も幅広いために、素材、デザインはもちろん、アイテムそのものもバラエティに富んでいます。

どんなエクステリアやガーデンファニチャーがガーデンに使われているのか、どのように使えばもっと庭が美しく輝くのか、実際のイングリッシュガーデンの写真からご紹介します。

これだと思うぴったりなものを見つけたら、植物たちがさらに美しく見えるように、自宅の庭づくりに役立ててくださいね。

1.トレリス

格子柄の模様を描いたトレリスは、つる性の植物を這わせるのには欠かせないエクステリア。壁に沿わせたり、あるいはエリアを分けるのにも活躍してくれるアイテムです。

素材は木材、バンブー、アイアンなどさまざまなものがあり、またサイズや格子柄のデザイン、そしてカラーも、目指したい庭の雰囲気に合わせて、色々なものから選べます。

可憐で華やかなつる性の植物を、もっと美しく見せるためにぴったりなトレリスの探し方、イングリッシュガーデンから教えてもらいましょう。

トレリスの活用法

たくさんの素材から作られているトレリスですが、イングリッシュガーデンで多く見かけたマテリアルは木材でした。素朴な雰囲気を持つ木目調のトレリスは、ナチュラルで味わい深いイングリッシュガーデンにはしっくりと馴染んでいるのが分かります。

トレリスの使用法は、もちろん上へ伸びていく植物のためが第一目的となりますが、それ以外にも役立つ効果が色々あります。

もし庭の周囲を囲む塀や壁の色やデザインが気に入らない場合でも、トレリスで新たなバックグラウンドを作ることができるのです。

さらに庭の内部を区切るために、塀としても使うことが出来るのも特徴です。格子柄の模様は向こう側が透けて見えるため、圧迫感を感じることもありません。

こちらの写真はスコットランドにあるハーモニー・ガーデン内のトレリスですが、高さやデザインによって与える印象が変わってきます。

背丈の低いトレリスは、エリアをきちんと分けつつも、解放感を感じさせる庭づくりに大活躍してくれるでしょう。

また、高さのあるトレリスは、背の高い植物に対応してくれるのはもちろん、庭の中を部屋のように区切る、壁としての効果も果たしてくれているのが分かります。

上の写真はシシングハースト・カースル・ガーデンに使われているトレリスです。こちらも壁としての役割を担っていますね。

このように、トレリスは植物をつたわせるだけでなく、庭に新しい風景を作り上げることができるアイテムです。

実用性はもちろん、庭に与えるビジュアル的効果も大きいトレリスですから、購入する際にはまずどこに置くか、どんな目的で使用するのかを明確にしておきましょう。

トレリスを設置する場所が決まったら、それからサイズ、カラー、そしてデザインと、さまざまな種類の中からよく吟味して選んでくださいね。

2.オベリスク

先へ行くほど尖った形状になっている、先端が細い、塔のようなフォルムをしたオベリスク。こちらも上へと伸びていくつる性の植物を誘引する目的のアイテムですが、そのかたちを利用し、庭にドラマティックな景観を作ることができるのも人気の秘訣です。

素材もアイアンや木材など、花や目指したい庭の雰囲気によって選ぶことが出来、またデザインも豊富ですから、庭にぴったりなものを探してみましょう。

ロマンティックな庭にぴったり!アイアンのオベリスク

上の写真はハンプトンコート・パレスのローズ・ガーデンにある、アイアン素材のオベリスクです。たくさんのバラが咲き誇る中で、オベリスクを使い高低差を強調、インパクトのある印象を作り上げています。

オベリスクはただつる性の植物を誘引するだけでなく、オベリスクそのもののデザインもさまざまなので、どんなフォルムのタイプのものを選ぶかで、庭の印象はずいぶんと変わってきます。

優美でデコラティブな曲線を描くことができるのは、アイアン素材ならでは。エレガントでロマンティックな庭を目指す方にぴったりなオベリスクの素材と言えるでしょう。

ナチュラルガーデンには天然素材のオベリスク

ナチュラルガーデンの雰囲気が大好き、という方は、庭に置くエクステリアの素材にもこだわって、素朴な雰囲気を持つアイテムを使用しましょう。

できればプラスチックのような人工的なマテリアルは避け、天然素材でできたものがガーデンのムードにはぴったりとくるはず。

上の写真はシシングハースト・カースル・ガーデンで使われていたオベリスクとなります。太めの枝につる植物を巻き付けて、ナチュラル感に満ちあふれているものを使用しています。

ナチュラルガーデンを目指すのであれば、華美なものよりも素朴なアイテムが景観の中に馴染んでくれるはず。シシングハースト・カースル・ガーデンのオベリスクを見ても、素材の持つあたたかさが、庭に優しい印象を与えているのが分かります。

また、支柱として活用できるバンブーのオベリスクも、ナチュラルガーデンにはおすすめです。支柱のバンブーはガーデナーにとっては手に入りやすく、しかも価格もお手頃。

シシングハースト・カースル・ガーデンで使われているような、太い枝とつる植物が手に入らない場合でも、バンブーであれば簡単に手に入れることができるのではないでしょうか。

もしDIYはあまり得意ではないという方も、バンブーであれば自分の好みの大きさ、高さにすることはそこまで難しくはないはず。

植物が持つ自然の美しさとの相性が抜群の天然素材のオベリスクは、優し気な雰囲気を持つナチュラルガーデンにはぴったりといえるでしょう。

オベリスクは場所の配置が重要ポイント

オベリスクは選んだデザイン、素材で庭の雰囲気がずいぶんと変わってくるものですが、どこに配置するかでも印象は大きく変わります。

小さめサイズの庭に大きなフォルムのものを使用すると、庭に圧迫感を感じさせてしまう場合も。細長いかたちをした庭であれば、オベリスクはスマートなラインのものを。そして誘引させる花も小ぶりなタイプを選ぶと庭に優しい雰囲気をもたらせてくれるでしょう。

このようにオベリスクはインパクトのあるエクステリアのため、庭のどこに、どの植物をつたわせるかで庭のイメージを左右してしまう場合もあります。購入する前に自身の庭をよく観察し、ぴったりと合った配置場所を考えてくださいね。

エクステリアやガーデンファニチャーを使って、個性ある庭に

植物が咲き誇るご自慢の庭も、ちょっぴり何だかものたりない。そんなときにガーデンの風景をひと味違うものに変えてくれる、エクステリアやガーデンファニチャー。

自身のセンスを駆使して選び、よりいっそう庭が輝く場所に置けば、それまでの庭とはまったく異なる印象を与えてくれるアイテムです。

エクステリアやガーデンファニチャーは実用性や機能面ももちろん重要ですが、自分の造りたい庭の雰囲気に合ったものを選ぶことが大切。常に目指したい庭のイメージを忘れないようにしましょう。

今回はトレリスとオベリスクについてご紹介しましたが、次回はアーチやチェーンを使って花を誘引させているイングリッシュガーデン、そしてシッティングエリアについてご紹介します。

イングリッシュガーデンが好きな方は、どんなエクステリアをどこへ置き、どのように使うと効果的なのか、ぜひふたつの記事を参考にしてくださいね。